米国は強すぎる?

 

 

先日Nasdaq100(QQQ)はついに最高値を更新した。

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コロナ大底(2020/03/23)からの日米主要株価指数比較をする。

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株価指数 騰落率*(20'3/13 ~ 21'4/16)
Nasdaq100 100.40%
S&P500 87.04%
DJI(ダウ平均) 83.07%
日経平均 75.53%
TOPIX 51.63%

*終値ベース

 

金利の上昇はやや一服した。

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以前推察した原油価格も価格を戻しつつある。

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life-is-going.hatenablog.jp

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前回の考察より、ハイテクグロース(QQQ)の変動幅は想定を上回ったが、FRBの金融政策は想定通りだった。バーナンキショックの経験から、インフレ率や経済指標が多少よかろうと、利上げ示唆によって自ら引き金は引きたくないだろうと考察した。

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 しかし、今回の米国は景気が良すぎるようだ。

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ここまでくると、流石に少しづつ利上げの噂が聞こえてくる。

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当局は見通しや市場の期待値ではなく、結果を重視するようだ。

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まとめ: 

想定よりも早い段階でFRBのテーパリング示唆が行われる可能性がある。

米国の経済回復が早く、今後インフレ指標の高止まりが続くこともあり得る。

その場合は、現在米株主要3指数ともに上昇しているが、

グロースからバリューへのリバランスやリスクオフが再び起きる可能性に注意する。

原油相場は炭鉱のカナリアになるか?

 

 

WTI原油価格の年初来高値は2021/03/08(UTC+9)の68ドル近辺。

以降、2021/03/11にWトップをつけてからは上値の重い展開が続いてきた。

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スエズ運河での事故により原油価格が一時上昇したが、

本日(2021/03/26)は再び下落している。

安値を割らずに少し下げ渋りの状況か。

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今週から世界の株式も軟調な展開に入った。

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 さて、相場の先行きを占う炭鉱のカナリアとして一部で有名なのは

米国の小型株指数、Russel2000。

こちらは2021/03/15(UTC+9)に年初来高値をつけて以降下落を続けてきた。

本日はちょうど75日線とぶつかり、下髭をつけて反発中。

小型株は大型グローバル企業とは異なり、内需の景気を色濃く反映する。

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しかし、今回のリスクオフ局面は小型内需株よりも原油が先行していたように思える。

下図は米10年債利回りとWTI原油価格、TOPIXの相対チャート。

TOPIXの年初来高値3/19にマークした。

この直前では日銀のETF買い入れ変更による特殊要因はあったものの、

金利上昇と内需拡大によるバリュー株高が進んでいた。

それらに比べ、先の通り原油価格は軟調な展開だった。

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原油価格はOPECの動向や各産油国の政治動向など様々なマクロ要素が絡んでいるが、

基本的には各国の経済活動によるインフレ期待に強い影響を受ける。

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2015年、中国の景気減速懸念から起きた原油の大暴落は記憶に新しい。

bizgate.nikkei.co.jp

 

今後は小型株指数に加え、原油価格及び商品市況の動向はより注目するべきだろうと考える。

 

土地神話?株神話?

 

 

金利上昇の中、株式へのリスクオンは続いている。

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特にバリュー株へのリバランスが顕著。

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CNNのFear & Greedはやや強気状態。

money.cnn.com

 

市場に「FRBの金融政策に変更はないだろう」との見方は多い。

実際、再三に渡りFRB内部やイエレン氏から緩和継続の発言が出ている。

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さらに、直近の米経済指標は好指標が相次いでいる。

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これは、直近で鈍い中国の経済指標と明らかに対比している。

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米中の財政政策へのスタンスの違いが、

最近になって経済指標に現れているのかもしれない。

米国はリーマンショックの懸念から、際限のない緩和姿勢。 

中国は2015年の信用危機から、緩和へ消極的な姿勢。(バブル潰し)

果たして10年後にどちらが正解か誰も予想はできないだろう。

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今後は米国個人給付金の株式市場への流入も期待される。

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ビットコインへの流入も予想されている。

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これらに乗じて期待インフレ率も上昇を続けている。

現時点(2021/03/15)で2.26%。

fred.stlouisfed.org

 

資産価格の増大が止まらない。

ソフトバンクは直近の含み益で2兆円超の含み益を得る。

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テンセントはなんと13兆円の含み益に。

36kr.jp

テンセントは楽天にも出資する。

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一方でこれらの株式譲渡益や法人税増税が検討されている。

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ロシアでは物価のコントロールに懸念が出始めている。

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まとめ: 

市場参加者がやや一方向へ向かい始めた。

各指標や市況から「一部でバブルとは思うが、緩和は続く為にどうせ上がるだろう」と楽観的に考える市場参加者は多いと分かる。

これは「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」の格言に当てはめるなら、楽観から陶酔の間ではないか。

1980年代後半のバブルでは有名な「土地神話」に加え、機関投資家でさえ「日経平均が下がることはない」と「株神話」を唱えていたようである。

当然そこまで現在の市場参加者は陶酔してはいないだろうが、

相場のチキンレースが始まっているように思える。

This week's Tanuki News. (2021/03/7)

 

 

The U.S. economy is recovering well.

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Business confidence in the non-manufacturing sector seems to have been affected by the bad weather.

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Interest rates continue to rise.

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The Fed's stance remains unchanged.

 

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But, China's economic indicators are not good.

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The stock prices of FA-related companies are also sluggish.

Comparison of Keyence and the Nikkei Stock Average.

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The Bank of Japan's move has been well received by the market.

Their equity securities tend to rise when their moves are favored by the market.

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Ricoh is planning to conduct a tremendous share buyback.

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The retained earnings of Japanese companies continue to grow even with the corona disaster.

www.nikkei.com

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Foreign investors will continue to pay attention.

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グロース株と長期金利の関係(ハイテクグロース株をどうする?②)

依然として長期金利が上昇している。
現時点(2021/02/19)で1.34%(前日比+4%)。
長期金利の上昇がグロース株全般(高PER株)に、
基本的なマイナス要因であることは周知の通りである。
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前回ではFRBの金融政策について考察した。
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そこでは、
1、 BEI(期待インフレ率)が上昇していること。(実質金利の低下)
2、一部の資産価格が上昇していること。(バブル懸念)
3、しかし、雇用は以前不安定であること。(1月雇用統計)
4 、FRBは俄然ハト派寄りであり、テーパリングは行わないであろうこと。(パウエルFRB議長の発言等)
5 、今後FRBはワクチンの摂取率を注視していると思われるが、見通しは未だ不透明であること。

これらの理由より、長期金利の上昇は限定的でありハイテクグロース株を保有継続とした。

ではハイテクグロース株の代表例、Nasdaq100の状況はどうだろうか。
現時点で13,580USD(前日比-0.42%)。
あまり大きな動きにはなっていない。
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ここで、長期金利とNasdaq100の動きを比較すると、
コロナ以降は長期金利との正の相関があるように見える。
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2020年11月以降の短い期間であるが、
QQQ(Nasdaq100と連動するETF)と長期金利には高い決定係数が出た。
コロナ後においては現状の金利水準ではまだ大きな調整には至らないようだ。
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ではどのあたりの水準で影響が出るのか。
諸説あるが、1.5%~2%の水準が分水嶺とみる声があるようだ。
また、潜在成長率との比較から現在長期金利は低すぎるとの声もある。
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しかし、そもそも金利とグロース株の相関は状況によって変化する。
金利を過度に意識しすぎるのも危険だ。
2017年の強気相場では、米国と中国経済が好調だった。
グロース株は稀な急落も含めて上昇を続けていった。
金利の上昇とグロース株の共存について、
債券から株への「グレートローテション」が起きていると言われていた。
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現在は金利上昇によってハイテクグロースが売られていると言うよりも、
グロースとバリューが同時に買われている状況。
リスク先行の点では2017年と似ているとも言える。
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そして、相変わらず雇用や消費は不安定な状況だ。
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ワクチン摂取率は現時点で18.46%(接種回数問わず)。
こちらは比較的早いペースで進んできているようだ。
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まとめ: 
ハイテクグロース株の保有は継続。引き続き雇用状況とワクチン動向に注視する。
FRBの金融政策に変更がなければ、長期金利の上昇、株価調整が一時的に起きても、リスク先行はその後も続くと考えている。

大麻銘柄はどうなる?

 

 

大麻銘柄が急騰している。

www.nikkei.com

その代表とされるのは、Tilray Inc.(TLRY)。

media.monex.co.jp

TLRYは年初来で680%ほど上昇。

昨日(2021/02/10)は1日で50%ほど上昇した。

短期移動平均線からの乖離が大きく過熱感がある。

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以下に主な大麻銘柄を前日比の降順で並べる。

*時価総額、前日比ともに2/10基準

*OTC(店頭市場)銘柄は除外した。

銘柄名 市場名 時価総額 前日比
Sundial Growers.(SNDL) NasdaqGS 4.4B 78.7%
Tilray Inc.(TLRY) NasdaqGS 8.2B 50.9%
Aurora Cannabis.(ACB) NYSE 3.7B 21.2%
Aphria Inc.(APHA) NasdaqGS 8.2B 10.7%
Village Farms(VFF) NasdaqGS 1.5B 10.1%
Canopy Growth.(CGC) NasdaqGS 19B 6.2%
GW Pharma.(GWPH) NasdaqGS 6.5B 0.7%

どの企業も直近の業績は赤字だが、売上は伸びているようだ。

米市場としては流動性の低い銘柄が多い。

投資対象としてはTLRY一択か、

他には時価総額の観点からCGC、APHA辺りとなりそう。

銘柄情報は以下を参照した。

www.thestreet.com

 

今回トリガーとなったのは、

Tilray inc.による医療用大麻を英国で販売する契約のリリース。

fx.minkabu.jp

米国では州によって大麻の扱いに大きな差があるが、

EUでは医療用大麻が合法化されている。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/140/2/140_19-00195-2/_pdf

www.bloomberg.co.jp

 

今後は米国での合法化も進むと言われている。

大麻は人種間格差の象徴となっているようだ。

現在、YNクオモ知事を筆頭に民主党は積極的に合法化を進めているが、

コロナ対応に追われ審議は先延ばしされている。

www.finance.senate.gov

news.yahoo.co.jp

 

また、今回急騰を牽引したのは海外の掲示板サイトredditによる煽りだ。

 reddit内のwallstreetbetsというフォーラムでは冷めやらぬ熱狂が目立つ。

 

この動きは始まったばかりだと意気込む投稿。

www.reddit.com

これで車のローンが払えるとの投稿もあった。

www.reddit.com

 

こういった中小型株急騰の背景には、民主党の追加経済対策案に含まれる給付金の影響も大きい。

日本でも、2020年春~秋にかけての新興市場の高騰には給付金の影響があったと言われている。

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さて、ここで注意が必要なのは、

中身のない株は長続きしないということだ。

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まとめ: 今後も大麻銘柄の注目は続く可能性は高いと考える。

米国の大麻合法化の流れは今後も継続するため。

ただし、投資タイミングは慎重に図るべき。

 

従来、大麻合法化支持は民主党支持者のスタンダードだったが、今では共和党支持者にも広がってきているようだ。

2018年にカナダで医療用大麻が合法化され、メキシコでも今後合法化されようとしている。

民主党の追加経済対策による財政赤字への補填に大麻税も検討されるだろう。

合法化されれば売上の大幅な増加が見込まれる。

しかし、今後の審議の遅れによっては各銘柄の需給は大きく変動すると思われる。

また、参入障壁の観点からも大麻合法化後の業績について不透明感は残る。(各上記事参照)

長期投資としては相場が落ち着いてからでも良いのではないか。

 

TLRYの空売り比率は依然高い水準のために、

短期では再度急騰する可能はある。

しかし、短期移動平均からの乖離など過熱状態での投資は変動率が大きいので注意が必要。

空売り比率 26.15%(2/10)

下記参照

https://fintel.io/ss/us/tlry

また、財務面で厳しい企業が多い為、

株価上昇によって増資を行う可能性がある。

デイトレーダー軍団が米財政難企業に新たな命綱-株価高騰で増資実現 - Bloomberg

今後のFRBの金融政策を考察。(ハイテクグロース株をどうする?)

*ここで言及するハイテクグロース株とは主にNasdaq上場時価総額上位100社のNasdaq100である。(みんな大好きQQQ) 

 

米国のBEI(期待インフレ率)が上昇している。

既に現時点(2021/02/05)で2014年ぶりの水準。

fred.stlouisfed.org

国内では、

BEIは米国と同じく2020年3月以降上昇しているが、

未だコロナ前の水準(2020年1月)と同程度。

日銀の大規模金融緩和が行われていても、期待インフレ率は下落傾向が続いている。

これはGoToを含めた一時的な財政出動の影響でもあるが、やはり米国と比べデフレマインドは強いと言える。

www.bb.jbts.co.jp

 

期待インフレ率の適度な上昇は経済の高循環を示し、基本的に実体経済好材料

金融緩和のもとでは実質金利の低下へ繋がり、資金需要が増大する。

しかし同時に後の長期金利の上昇も示唆している。(=グロース株への負荷。)

 

さて、ここで重要になってくる事は、

FRBの金融政策の方向転換。(=後の長期金利の動向に大きな影響を及ぼす。)

直近のFOMC(連邦公開市場委員会)では23年まで金利は据え置くとの見通し。

仮に見通しに変化があれば、全ての資産価格にマイナス材料。

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直近の期待インフレ率や資産価格の上昇によって、

FRB内部でも議論が活発なようだ。

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しかし、直近の雇用統計は良くなかった。

FRBは雇用統計も重要視している。(雇用と物価の安定がFRBの目的)

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現状は、資産価格と実体経済(雇用)が乖離している事は明白だ。

実体経済への影響はもちろんコロナによる一時解雇が原因である為、

FRBは自然免疫を含むワクチン接種状況を注視しているのだろう。

通常の経済に戻るまで摂取率75%が目安とされている。

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下記の情報によると現時点で米国全体の摂取率は9.5%。(接種1回目)

www.bloomberg.com

一方で、ワクチン摂取率達成の見通しは不透明である。

www.nikkei.com

 

 

まとめ: グロース株の保有は継続と考えている。

米国含め世界のワクチン摂取率の見通しが依然不透明なため。

 

現状としてはある程度コロナの収束シナリオが見えてきた為に、

一旦の金利上昇によるバリュー(金融、資源、エネルギー他)へのリバランスが起こる可能性はある。

しかし、依然としてワクチン接種率の見通しの不透明感はあり、

雇用も不安定な状況。

FRBによる緩和は継続され、長期金利の上昇も限定的と考える。

米国経済は日本と違い金融資産に占める株式の割合が高く、

株価本位制資本主義とも言われる。つまり株価が消費動向に直接影響を与えやすい。

FRBは資産価格と実体経済(雇用、物価)の難しい舵取りをしているが、

過去の苦い経験からFRBは金融政策に対し慎重(ハト派)になっている。

パウエルFRB議長はFRBの新たな目的に金融市場の安定を付け加えてた。

自分達で引き金を弾きたくはないのだろう。

決算もグロースは好決算が相次いだ。

 

以下参照

jp.wsj.com